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「旅行ができない?問題ありません。私たちが新しい旅のカタチを提供します!(No travel? No problem. We’re bringing the flavor to you!)」は、2020年夏の米国のポテトチップスブランドであるLay'sのキャンペーンです。

Lay’sの愛好者たちは、世界中の好きな旅行先を選択してツイートすることで、Lay'sのフレーバートリップに参加しました。Lay'sは、選択した国の「味」のポテトチップスの袋を送ることでこれに応えました。

これは、旅行に従来のアプローチが利用できなくなったときに、消費者を満足させることを目的として採用されたマーケティング手法です。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)からの回復が進む今、旅行会社は市場のリアルな需要に応えようとしています。

課題は、変化し続ける旅行ニーズを捉え、どのようにアプローチするかです。

新しい旅行者の特定

従来、多くの旅行会社は、旅行者を複数の階層または包括的な旅行目的で定義してきました。カードプログラム以外のアナリストは、高付加価値顧客層に加えて、富裕度合いや頻度、楽しみを求めるか、自己充足かなどの消費者プロファイルを使用します。

階層化と消費者プロファイリングは、商品設計の観点からはうまく機能します。しかし、旅行はパーソナルなものです。また、コロナウイルスの感染拡大は消費者が貯蓄を何に費やすかについて考える機会になりました。

ある人は一人の時間を求めますが、別の人にとっては退屈な時間になります。自己充足の旅の基本的な目的には、教養を高めることや、贅沢な買い物などがありますが、出張とセットになっているかもしれません。プロファイリングに新しい要素が加わったことにより、旅行会社が個人に合わせてカスタマイズされた適切な旅行体験を提供することが難しくなっています。

Mastercard Economics Instituteの2021年6月のレポート「Ready for takeoff?」では、旅行需要回復の初期 フェーズに変更された8つの旅行者プロファイルに焦点を当てています。

ビジネス目的:
  • 休暇中にリモートワークを行う「ワーケーション(workation)」の旅行者
  • ビジネスのみの旅行者
観光目的:
  • 低予算での旅行を好む旅行者
  • 自宅から近く、混雑していない場所での短い休暇を望む旅行者
  • 食事とリラクゼーションを目的とする旅行者
  • アウトドア活動に焦点を当てた旅行者
  • 海外の家族や親戚を訪問する旅行者
  • 高級志向の旅行者

変化の激しい現代の旅行業界において、適切なターゲットを特定してから、旅行者各個人にカスタマイズされ た適切なサービスを提供することが重要です。

地域と傾向

Lay’sがドイツを代表するビールとブラッツ、メキシコを代表するライムとシーソルトを選定したように地域柄がよく表れているプロファイルがあります。

中南米諸国の旅行者は、2019年当時、ワーケーションにそれほど好意的ではありませんでした。彼らのコロナ 渦における行動は、大きな嫌悪感を示しているとも言えます。他国が家庭と仕事のバランスをとる柔軟な勤務体制を採用する中、この傾向は続くのでしょうか?友人や親戚を訪問する旅行者がより長く滞在し、柔軟な帰国日を好むという世界的な傾向には、何らかの関連性があるかもしれません。

アジアでは、シンガポールがビジネスや観光目的の外国人の受け入れを積極的に再開したことにより、旅行需要の回復をリードしています。オーストラリアが2022年の初めに受け入れを緩和すると、より長い訪問で の「ブリージャー(レジャーとビジネスの組み合わせ)」が始まりました。Mastercard Economics Instituteの2022年5月のレポート「Travel 2022: Trends & Transitions (2022年の旅行:傾向と推移)」によると、オーストラリアとシンガポール間のフライトは、4月末までに各路線で133%、208%増加しました。

アジアの他の地域では、ワーケーションに対する日本人の傾向は中南米諸国の傾向に似ています。しかし、 この地域の旅行者の特徴はリラクゼーションと逃避行を好むことです。逃避行を好む傾向は、中東諸国にも反映されており、近隣都市を訪れる習慣は、コロナ渦以前からみられます。現在の大きな変化は買い物の習慣です。オンラインショッピングの普及により、人々が直接訪問する必要がなくなりました。

海外の製品をオンラインで探す傾向は、他の地域の特徴でもあります。しかし、ヨーロッパは他の地域に 比べ、持続可能性を重視していることにあります。この環境に優しいともいえる支出は、旅行先目的地で「消費」 よりも「体験」に重きを置いていることが理由に挙げられます。コロナウイルスの感染拡大により、「モノ」から 「コト」にシフトした消費スタイルは高級品愛好家にはどのような影響を与えるのでしょうか?

また、世界的な傾向として、高い航空運賃や宿泊料金を支払ってでも柔軟に予約を取りたい旅行者が増加し ています。ホテルは、許容可能な料金で再び値上げするのに時間がかかるため、価格を下げることはせず、代 わりに特典を追加することで旅行者の行動を促進しました。航空会社は、多数の低価格帯のエコノミークラス 旅行者よりも、高価格帯のビジネス旅行者からより多くの収益を得る場合がありますが、需要が回復し、旅行 ニーズのある消費者により、何十年も見られなかった価格弾力性が見られたため、セールを停止しました。

嗜好への対応

ライムやシーソルトなどのフレーバーは、特定の期間の消費者の需要に応えるために限定販売されるように設計されています。同時に、旅行会社は、不安定な時期にある程度の一貫性を維持するために、ソルト&ビネガーのような主要商品を探しています。データによってその両方の実現を可能にします。データは、変化する顧客のニーズを捉えることで、商品主導の階層やプロファイルを超えて機能します。

   
Andreas Spycher 

Andreas Spycher

政府・公共サービス事業部統括本部長

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